今日は、お金で幸せを買う方法について。
TEDトーク「Less stuff, More happiness」では、この50年間でアメリカの家庭住宅の敷地は3倍に、消費額は数倍に増えたにもかかわらず、アメリカ人の幸福度は全く変わっていないと指摘されています。
そして僕は、お金はいくら持っているかではなく、使い方のほうがよっぽど大事なんじゃないかと思うんです。
年収という要素は800万を超えると幸せの効能は増えないと知られていますし、億万長者でも全く幸せじゃない人もいます。
お金と幸せの関係について、「幸せは収入の多寡ではなく、お金の使い方で決まる」という仮説を持っています。
そんなときに出逢った本が、「幸せとお金の経済学」でした。
「お金では買えない価値がある」という言葉には納得するものの、やはりお金が欲しい、できれば贅沢な暮らしがしたい、というのが人情。
これは決して恥ずべき感情ではなく、動物としてのヒトのDNAに刻み込まれたホットシステムというべきごく自然な欲求です。今まで経済学ではほとんどテーマとされなかった「地位財」「非地位財」という概念は、あなたを不要な競争的消費から解放し、幸福度を上げる力があります。
内容紹介より
この本で出て来る概念、「地位財」「非地位財」が、目からウロコの衝撃でした。
今日は、この地位財、非地位財の観点から、なぜぼくたちはブランド品や社会的地位に固執し、幸せを産まない消費にばかり走ってしまうのか、考えていきます。
ぜひこの記事を読まれた方は、地位財・非地位財について理解し、負のスパイラルとも言える地位財への投資をやめ、幸せを生む体験やコトにお金を投じていきましょう。
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地位財と非地位財の違いとは??

早速、地位財、非地位財について説明していきます。
(例:所得、社会的地位、教育費、車や家などの物的財)
幸福の持続性[低]
高いスーツやブランド物、マイホームなどが当たります。
たとえば、「高級スーツを着れば転職面接に受かりやすい」とします。僕なら、少しでも高いスーツを来て面接に挑みます。
でも最終的には、誰も幸せにならない結果に終わるんですね。
あなた以外にも4人の受験者がいたとします。それぞれが面接で有利になろうと、3万円のスーツを捨て、10万円、20万円のスーツを用意します。でも結局、面接で採用される数は1人。
地位財の悲劇は、安いスーツで挑むと低評価を受け、高いスーツで挑んでも高評価を得られないところにあります。
これと同じ悲劇が、不動産やブランド物、車などにも生まれます。
(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)
幸福の持続性[高]
地位財と違い、個人で評価が完結するのが、非地位財の特徴です。
たとえば、こちらのCとDの世界では、どちらが好ましいでしょうか?

友人より少ないけど4週間休日がある世界と、友人よりも多いけど2週間しか休めない世界。
研究調査では、大半がCの世界を選んだそうです。
そりゃあ、そうですよね(笑)他人がどれくらい休んでいるかなんて、関係ありませんから。
子育てや旅行の体験、健康など、他人と比較しにくいモノが非地位財と覚えておくといいです。
なぜぼくたちは地位財にこだわってしまうのか?

大きくて綺麗な家、高級車やブランド品などなど、なぜ僕たちは、他人が持つモノをより良いモノ買い求めてしまうのでしょうか??。
本書に、その理由が説明されていて、僕は頭をガツーン!と殴られた感覚を覚えました。それがこちら。
フランクは、人がなぜ地位財を追求するかについて、「環境適応をめぐる進化の賜物だ」と説明しています(『目からウロコの幸福学』ダニエル・ネトル著)。
われわれの祖先が子孫を残せるかどうかは絶対的な価値である「健康」ではなく、相対的な価値の「地位」に左右されてきました。 つまり、自分にそれほど体力がなくても他者がそれより劣れば、食料も配偶者も得られるわけです。 つい地位財を追求してしまうのは、進化の賜物。避けられないことなのです。いわば、DNAに刻み込まれたホットな衝動(人間の衝動的な欲求を動かす「ホットシステム」)に突き動かされて我々は地位財の追求にまい進しますが、全員が全員に対して比較優位になる状況というのはありえません。
「人より優れたモノを得たい!」という衝動は、これまで僕らの先輩子孫が刻んできたDNAによるものだったんですね。
現代社会でも比較優位な競争はいくらでもあります。社内出世や大学受験は、その組織の相対的な地位で結果が決まりますよね。
他にも、「美人に彼氏として選んでもらう」なども、相対的な要因で決まるもの。なので、絶対に「地位財」を追い求めることが悪というわけではありません。
でも、地位財にばかりお金を投じるのは、本当にコスパが最悪なんですよ。
相対的に価値が決まる場合、どんなにお金を投じても、1位になれるのは1人だけ。
お金を投じて価値を高められそうなモノ・コトは、結局のところお金さえ出せば手に入れられるので、投入コストが増える一方。しかも、一生比較優位を得られない負のスパイラル構造なんですね。
本書では、地位財の追求を軍拡競争と表現していました。相手が武装したから、こちらもより強い兵器を揃える。でも結局、他国より優位に立てるのは限られた国だけ。
軍拡競争のような他人との不毛な争いに、あなたの大切なお金を突っ込み続けてもいいのでしょうか??
だから、そこから抜け出しましょう!w
幸せをお金で買いたいなら、「非地位財」にお金を投じよう!

「「幸せをお金で買う」5つの授業 ―HAPPY MONEY」では、他人との比較で価値が決まらない経験・体験にお金を投じることをオススメしています。
まさに、非地位財への投資です。
簡単にまとめると、これら5つの経験・コトだと、「お金で幸せをお金で買える」そう。
- 経験を買う
- ご褒美にする
- 時間を買う
- 先に支払って、あとで消費する
- 他人に投資する
どれも目に見える利益を生まなさそうなのがポイントですね(笑)
たとえば、旅行のような「先に支払って、あとで消費する」行動は、幸福度がメチャクチャ高いことは、経験的に分かるのではないでしょうか?
たとえば、3ヶ月後のハワイ旅行を予約したら、当日までは旅先での楽しみに思いを馳せることができますよね。実は、この旅が始まるまでのワクワク感は、旅行中の幸福度より高いそうです!
地位財はお金払った瞬間に快楽が得られるものばかり。だからこそ、その幸せが長続きしないわけです。
物質的な所有物が だんだんと背景の一部化していくのに対し、 経験的な買い物は、時間が経つにつれますます良いものに感じられる仕組みなんですね。
【さいごに】生物学的な衝動にとらわれず、お金を使う意識を持とう!
人間が、他者より優位な立場に立とうと地位財を求める衝動は、人間社会を生き延びる上でDNAに刻まれてしまった避けようのないことです。
でも現代は、何千年前と違い、人より地位が劣っていても、食料にも寝る場所にも困りませんよね。
青臭い言い方をさせてもらうと、
現代の人類は、生き延びるためではなく、幸せになるために生きているんです。
そして、地位財は生存競争に勝つためのの、非地位財は幸せになるための手段です。
生物学的な衝動を抑えて、非地位財にお金をどれだけ投じれるか。これがお金を使って幸せになるキーワードだと思います。
友人や恋人にプレゼントを贈る、一緒に御飯を食べる、旅行に行く、不快な通勤時間をやめる、などなどのことにぜひ明日からお金を使ってみてください。
地位財・非地位財という概念をインストールすることで、あなたの消費行動が変わり、幸福度にも変化が現れるかもしれませんよ。
本日は最後までありがとうございました。